私は、かねてから「世の中に自分が建てたものを残したい」という気持ちがあって施工管理職を志望していました。
当初、私は派遣会社に勤務していたのですが、京急建設へ出向することになり、志望していた施工管理職として新たなスタートをきりました。
最初に配属された現場で長らく施工管理職を勤め、工事を無事竣工することができました。
当時、京急建設では女性技術員が少なく、事務所や作業所には女性を配慮した設備が整っていなかったことから次の配属先を決めかねていました。
しかし、私が学生時代にCADを勉強していたこともあって設計監理職を薦められ、施工管理職から異動となりました。
それから、京急建設から正社員として雇用したい要望があったのは設計監理職として携わってからでしたね。
当時は、設計監理職よりも現場で働きたい気持ちが勝っていたのですが、施工管理職ではどうしても体力勝負な部分もあり、女性のライフステージを考えた時に設計監理職の方が業界で長く働けるのではないか、設計を通じて設計者という立場からでも世の中に自分が建てたものを残せるかもしれないという気持ちが芽生え、塾考を重ねた結果、私は入社する決意を固めました。
現在も設計監理職を務めており、業務しながら資格の勉強をして1級建築士と1級建築施工管理技士の資格を取得することができました。
設計業務は、実際まっさらな建設用地を訪れ、頭の中で自分の思い描いた建物のイメージを数字と線で図面に落としこんでいく作業です。お客さまからの要望はもちろんのことですが、「こうしたら良い建物になる」という自分のアイデアを膨らませていき、そうしてできたイメージ図を見て、お客さまにも喜んでもらえることにとてもやりがいを感じます。とはいえ、建物の設計ができても法令規制や敷地といった様々な制約があって図面通りに施工できないこともあります。工事が始まる前は「思い描いた通りにできるかな…」と緊張でドキドキしますし、工事が着手してからもモヤモヤしながら見守っています。実際にアクシデントが起きれば、工事部や協力業者、お客さまと折衝しながら図面を調整して別の工法で解決する糸口を探っていきます。そうした紆余曲折を経て完成した建物を見て、それまでの苦労や不安が消え、「頑張ってよかった」という爽快感と次第に喜びの気持ちがこみ上げてきます。
以前の私は段取りが悪く、上司に「それ、前もってやらなきゃダメだよ」と言われることが多々あって、なかなか改めることができませんでした。しかし、仕事の積み重ねと経験が生き、この仕事で必要となる事柄やスケジューリングが頭の中で設計した時のように想像できるようになり、『先を読む力』を身についたと感じます。前に上司から与えられた仕事に対して「こういう指摘がくるだろうな」とあらかじめイメージして、事前に準備してからお客さまとの打合せに臨み、仕事をスムーズに完遂することができました。常に頭の中でイメージを形にする仕事を続けてきたからこそ成長できたのだと実感しましたね。
設計監理職は細かい作業が好きな人、デザイン性に特化した人向きという印象が持たれがちですが、私自身がそうではないので、そういった心配はありません。センスのいい設計ができても法令規制や敷地次第では建てられないこともあります。「やってみたい」と思ったらデザインへの苦手意識は気にせず、まずは志望してみてください。私のように施工経由の設計監理職というアプローチも、より現場をイメージして設計できるスキルが積めるので“有り”だと思います。どちらかと言えば、大雑把でも興味があって不思議に思うことなら何でも掘り下げたくなるような好奇心が強い方向きかもしれません。資格取得も、私は社内で仕事をサポートしていただきながら1級建築士を取得できました。